異業種から介護職にキャリアチェンジした想いとヘルパーの魅力
佐藤美和/介護従事歴2年・初任者研修修了・行動援護取得
飲食業から転職をして、介護の仕事を未経験からスタートした佐藤美和さん。訪問介護での経験を2年間積み、現在も事業所「ulu(うる)」で訪問介護の仕事を続けています。佐藤さんに介護に対する想いや日々の取り組み、働き方について伺いました。
介護に出会い25年前の価値観が変わった
――これまでの経歴を教えてください。
私は2年前に、介護の仕事を未経験からスタートしました。
訪問介護の仕事を2年間経験しており、uluは私が働く2つ目の訪問介護事業所になります。
――介護業界に足を踏み入れたきっかけは?
介護業界に入る前は夫とともに飲食店を12年経営しており、私は常にお店に出て休みなく働いていましが、コロナの影響で2年前に廃業を余儀なくされてしまいました。当時は経済的な困難に直面し、悔し涙をのんで店を閉める決断をせざるを得なかったことが辛かったです。
それから夫は運送業に転職し、私も新しい職を求める中で、友人からヘルパーの仕事を勧められたことがきっかけで介護の仕事をしてみようと思いました。
――もともと介護の仕事に興味があったのでしょうか?
私が高校生の頃に親が祖母の介護をしていたので、その様子をよく見ていました。
オムツ替えやお風呂に入れる際に、自分よりも大きな祖母と一緒にお風呂に入る姿や、ときどき声を上げながらの介護の様子を見て、当時の私は介護の仕事をしたいとは思っていませんでした。
しかし、資格取得のための学びを通じて、そのイメージが大きく変わりました。
以前は「老人のお世話」と感じていたものが、「日常生活を守るためのお手伝い」という考え方に変化したんです。今では、ヘルパーが介入することで、高齢者や障がい者の方々が日常生活を安心して過ごせるようサポートできていると感じています。
ヘルパーを支える上司の誠実な対応と強さが魅力
――uluで働くことを選んだ理由を教えてください。
尊敬している上司がuluを立ち上げると知ったとき「私もここで働きたい」と即座に決意しました。
その背景には、上司の仕事に対する姿勢や考え方が大きく影響しています。
上司は他のヘルパーへの業務の振り分けを行いつつ、自らも現場での支援を怠りません。
管理者でありながら日曜日も働いたり、お子さんがいる中でも一生懸命に仕事をしていたりする姿は、真摯な取り組みが感じられます。またヘルパーをしっかりと守ってくれる姿勢や、利用者さんの家族からの不当な要求に対して、自分の意見を持って対応してくれるところも魅力的です。
上司のこのような考え方や価値観には、多くの面で共感しており、彼女の存在がとても大きいと感じています。
日々の支援では目標をたてたり工夫したりすることでやりがいを感じる
――介護の仕事で特にやりがいを感じる瞬間はどんなときですか?
体の不自由な利用者さんや、精神状態が不安定な方々のお宅に掃除の支援で訪れることがあります。ときどき、その状態に驚くことも。1時間という限られた時間で、どれだけ部屋をきれいにできるか目標をたてることに、大きなやりがいを感じています。
ある日は私自身が予想していた以上に部屋を綺麗にすることができて、その結果に驚いたこともありました。
――具体的な目標をたてて支援することがやりがいにつながっているんですね。
はい、そうですね。目標とあわせて自分なりに工夫することも意識しています。
例えば私自身が苦手と感じる着替えの支援は、単に支援に入るだけではなく効果的な方法を模索しています。
シミュレーションをしてから支援に取り組むようにしていて「肘を曲げたら抜けやすい」「肩を外せば腕が通りやすい」といったことを意識しています。
介護では技術だけではなく心のケアも大切にしている
――介護の仕事で嬉しかったことはどのようなことですか?
嬉しかったことは、特定の利用者さんから「佐藤さんが来てくれればいいのに」と言っていただくことが嬉しいです。
全員の利用者さんに対応するのは難しいですが、その言葉はとても励みになっています。
まだ経験が浅く完璧に仕事をこなせるわけではないので、そのように言っていただけるのは、私の人柄が気に入ってもらえているからだと感じます。
(実際の利用者様宅にて撮影)
――利用者さんの気持ちに寄り添って支援をおこなっているのですね。
はい、そうですね。
技術や作業だけでなく、心のケアも大切だと思っています。
今後も訪問の度に利用者さんにとって喜びにつながるように、心がけていきたいです。
家族のようなサポートをすることでリラックスできる環境を整えている
―― 利用者さんに対して大切にしていることを教えてください。
利用者さんとのコミュニケーションでは、早口だと理解が難しいかなと感じるので、特に高齢の方に対してはゆっくりと話すように意識しています。
訪問時の「おはようございます」や「こんにちは」など、元気にあいさつすることを心がけています。
いつも元気だねって言ってもらえることも多いです。
(実際の利用者様宅にて撮影)
――そういった対応を心掛けると、利用者さんはどのような反応をされるのでしょうか?
最初は当然、緊張される方も多いですが、毎週定期的に訪問することで、次第に友達のような関係になってきます。私の家族の話をしたり、逆に利用者さんの家族のエピソードを聞くことも増えてきました。
言葉のやり取りが難しい方に対しても、誠実に接することで、家族のような温かいコミュニケーションを築き上げています。
これにより、利用者さんがリラックスできる環境が実現できていると感じています。
――ご家族のような温かいコミュニケーションとは具体的にどのようなことでしょうか?
ただ業務をこなすだけではなく「自分が利用者さんのご家族だったらどう接するだろうか」ということを、常に考えて行動することです。
単なる仕事としてではなく、心の距離を近づけるためのサポートを意識しています。
例えば、食材の選び方や利用者さんのご家族から頂いた食材の使い方にも気を使っていますね。
利用者さんのご家族の気持ちも理解することで、利用者さんに普段の生活の感覚を持たせ、リラックスできる時間を提供できていると思います。
1人の利用者さんを全員でサポートできる安心感
――最後に未来で一緒に働く仲間にメッセージをお願いします。
uluでは、私たちヘルパーが全員で1人の利用者さんをサポートするスタイルを採用しています。
具体的には、1人の利用者さんを1人のヘルパーだけが担当するのではなく、ランダムにペアリングして複数のヘルパーが関わります。この方式のメリットは、問題や悩み事が生じた際、ほかのヘルパーとの相談や情報共有がしやすくなる点です。
固定のペアリング方式では、他のヘルパーが具体的な状況や課題を理解するのが難しくなりがちですが、uluの方式ではその問題を解決できます。結果として、利用者さんの最新の状態やニーズに応じて、スムーズなサポートを提供することが可能となっています。
ほかの事業所では固定のペアリングが主流ですが、ランダムにペアリングする方法だと仕事が非常にやりやすく、安心して取り組むことができました。
万が一スケジュールに変更が生じた場合も、柔軟に対応してもらえます。
これから一緒に働く仲間にも、ぜひuluの環境での勤務を体験してほしいと思っています。
(取材・文/鳥居)