スタッフインタビュー 大宮由真

現場主義の管理者|訪問介護の魅力と未来ビジョン

大宮由真/介護従事歴15年・介護福祉士・行動援護・ケアマネージャー・相談員

15年間介護の経験を積み、2023年2月に訪問介護事業所「ulu(うる)」を立ち上げた大宮由真さん。多くの経験から訪問介護に魅力を感じ、介護部門の代表として管理者をしています。管理者でありながら現場が好きな大宮さんの介護に対する想いや魅力、目標などを伺いました。

介護の資格を取得したきっかけは障がいがある方と向き合いたかった

――介護の資格を取得したきっかけは?

障がいがある方と向き合ってみたいと思い、知的障がいを持つお子さまやほかの障がいを持つ方々に興味を持ったことが、介護の資格を取得したきっかけです。
最初はどのように関われば良いのか、正直わからず、怖いというイメージがありました。
例えば、突然叩かれたり大声を出されたりすることを想像していたんです。
しかし、ヘルパーの方が側にいたり、集団生活をしていたりする様子を知ることで、安全に関われると感じました。
なぜ怖いといったイメージがあるのか、そのような反応がある理由を理解し、学びたいと思いました。
私は障がいを持つ方々と一緒に遊んだり、触れ合ったりして、どうしたら彼ら彼女らの笑顔を増やせるのか、どうしたら一緒に前を向いて生活できるのかを考えながら支える仕事をしたいと思ったんです。

1人ひとりに寄り添える訪問介護の魅力

――今までの経歴を教えてください。約15年前に施設でも働いていたと伺いましたが、その経緯は?

私はデイサービスと訪問介護、施設介護を経験してきました。
その中で、施設介護は厳しい時間の拘束がありました。
当時の施設では、多くの利用者さんを少ない職員でサポートしなければならず、常に時間に追われる日々でしたね。
オムツの交換やシーツの洗濯など、日々のルーティンワークが繰り返される中で、個々の利用者さんとのコミュニケーションをとる時間は限られていました。

(実際の利用者様宅にて撮影)

――施設勤務と訪問介護の違いは何だと感じましたか?

施設勤務では、多くの利用者さんをサポートする中で時間的な制約がありました。
しかし、訪問介護では1対1でサポートが可能です。
もちろん時間は限られていますが、手を動かしながらも、会話ができる時間が確保されています。

寂しさを感じている方やお話したい方もいるので、話を聞いたりおしゃべりを楽しんだりできます。
会話をすることで表情が穏やかになる瞬間を直接見られるので、私にとっては訪問介護の方が合っていました。
こうした直接的な支援を通じて、利用者さんに少しでも安心感や喜びを提供できることが、私にとって訪問介護の魅力だと感じています。

管理者だけれど現場主義

――管理者としても現場に入って支援を行っているとのことですが、その背景は何ですか?

実は私、現場が大好きなんです。
現場を直接見て感じなければ、適切な指示やサポートはできないと思っています。
管理者として現場に立たないと、クレームが来た際の状況を把握できません。
またヘルパーの動きや、利用者さんの様子も理解できなくなります。
そういったことを避け、また現場が楽しいと感じているから、現場に積極的に入っています。

――その姿勢はほかの職員にどのように伝わっていますか?

私はただ単に現場に入りたいだけなのですが(笑)。
職員たちは、それを頼もしいと感じてくれているようです。
私のこのスタイルは、職員たちとの連携を深め、お互いに助け合える良い環境を作り出していると思っています。
私は管理者であり代表者ではあるものの、「自分が偉い」とは思っていません。
私たちの会社はみんなで作り上げているもので、その一環として私も現場に入って何が必要か、何が求められているかを理解しようと努めています。

――現場の楽しさというのはどのようなものでしょうか?

利用者さんや、ヘルパーとの直接のコミュニケーションにあります。
事務仕事も大切ですが、私にとっては苦手な部分。
現場では、利用者さんと笑顔でコミュニケーションを取り、ヘルパーと協力しながら仕事を進められることが非常に楽しいです。
会社のコンセプトは「みんな笑顔」です。
その精神のもと、利用者さんもヘルパーも笑顔でいられる環境を作れることは、現場に立っているからこそだと感じています。

うるを立ち上げた理由は自分が決めたゴールにたどり着ける場所を作りたかったから

――うるを立ち上げたきっかけは何ですか?

以前働いていた会社の方針やコンセプトが、私の思っていたゴールとは異なり、非常に苦しい時期でした。
しかし、利用者さんのところに行くと、この仕事をやめたくないと感じました。
そこで、自分のゴールに向かって活動できる場を作りたいと思い、うるを立ち上げたんです。

――代表との関係はどのように築かれましたか?

実は、うるの設立前から代表とはプライベートでもつながりがあり、仕事に関する相談もしていました。
私がこのまま働き続けると仕事を嫌になってしまうことを相談したところ、代表から会社を設立する提案を受け、それがタイミング良く一緒に仕事をするきっかけとなりました。
ベストな形を提供してもらい、代表にはとても感謝しています。

――仕事の進め方で意識していることはありますか?

職員が1人で苦しまないよう、常に意識しています。
悩んだときには、1人で抱え込まない環境を作り、どんな些細なことでも相談ができるように心がけています。
相談された際には「そんなに気にすることないよ」と返さないようにしているんです。
それは自分の価値観であって、相手にとっては大きな問題かもしれないからです。
相談してくれた人が1人で苦しむことのないように、さまざまな角度から考えるようにしています。
利用者さんやヘルパーが、お互いを尊重して進められるような環境作りを大切にしています。

利用者さんやヘルパーの意見を尊重することを大切にしている

――利用者さんに対して大切にしていることは何ですか?

利用者さんの意見を尊重し、可能な範囲で要望に応えることを心がけています。
完全に否定せずに、できる範囲での対応を提案し、ルールを守りつつ意見に添えるよう努めています。
また、常に笑顔で接することも大切にしていますね。
会社がさらに大きくなったら、私が直接聞ける声が少なくなってしまうと思うんです。
そうなったときに、大切にしている考え方を継承してくれる人がいてくれると、同じ価値観で会社の規模を拡大していけるのかなと思っています。

――介護の仕事とは、一言でいうと何でしょうか?

一言でいうと「愛」ですね。
愛情がある人であれば、介護の仕事に向いていると思います。
言葉が通じない人にも愛を持って接することが重要で、この仕事を続けていくには、心のつながりを大切にできる人でなければならないと感じています。

利用者さんに認めてもらえた瞬間が嬉しい

――介護の仕事をしていて、やりがいを感じる瞬間はありますか?

利用者さんに「ありがとう」と感謝の言葉をいただくのは、最高の瞬間ですね。
初めは距離を感じていたり、抵抗感を抱いている利用者さんが、時間をかけて心を開いてくれたときの喜びもひとしおです。
利用者さんの心に、少しでも私の存在が残せた瞬間は魅力的で、人との関わりを深く感じることができます。

(実際の利用者様宅にて撮影)

――利用者さんからの信頼を得られたと感じたエピソードはありますか?

2年間、ある利用者さんの支援をしてきた中で、ある日突然いつもは具体的な指示をくれる利用者さんが私に全てを任せてくれたことがありました。
何年もの積み重ねで、自然な変化があると「やってきてよかった」「頑張ってきてよかったな」と感じます。
また言葉を交わさなかったご家族が、次第にコミュニケーションを取るようになり、家族全員からの信頼を感じられました。
何気なく放った利用者さんやご家族からの一言がとても嬉しいし、仕事が楽しいと思う瞬間です。

――つらい経験もあると思いますが、どのように乗り越えていますか?

つらいことがあっても、それを経験として捉え、後悔しないようにベストを尽くしています。
つらい経験はステップアップするための訓練、修行のようなもの。
失敗や苦しみも無駄にせず、自分にとってのプラスに変えることを意識しています。
そうすることで、つらい記憶にならず、乗り越えた分だけハッピーになれますね。
これは私の生き方ともいえるかもしれません。

訪問介護を通じて社会を変えていきたい

――今後の目標について教えてください。

事業所をさらに拡大し、訪問介護の範囲を広げて、本当に困っている方々の力になりたいと考えています。
特に、障がい児や障がい者の支援が不足している地域に焦点を当てて、活動していきたいです。
海外では障がいのある方に対して偏見の目が少ないと感じています。しかし日本はまだそういったことが少なく、どう接していいのかわからない人が多いと思うんです。
訪問介護を通じて、障害の有無にかかわらず、心の壁を感じずに多くの笑顔が見られる社会を目指していきたいと考えています。
そして自分自身もさらに成長し、信頼される存在となることが目標です。

うるは個性をもって働ける訪問介護事業所

――最後に未来で一緒に働く仲間にメッセージをお願いします。

うるは2023年に新しく設立された会社で、全員が和気あいあいと楽しみながら働いています。
この業界は入れ替わりが激しいと言われますが、私たちはそういった状況を作りたくありません。
だからこそ、楽しみながら働ける仲間を募集しています。
うるの魅力は、代表が一人ひとりの意見を真剣に聴き、受け止めてくれる点です。
例えば「こんなことをしてみたい」という企画の提案をしたとき、タイミングが合えば前向きに応えてくれます。
うるは、上下関係を重要視するスタイルの事業所ではなく、個性を活かして自分らしく働ける環境があります。
それが私たち「うる」の大きな魅力です。

(取材・文/鳥居)